【モース硬度でわかる宝石の硬さ】ジュエリー選びに失敗しない基本知識

宝石って、「硬くて丈夫」なイメージありませんか?

でも実は、ちょっとぶつけただけでキズがついたり、欠けたりする繊細な石もたくさんあります。

大切なジュエリーを長く愛用するには、“硬さ”を知ることがとっても大事。

この記事では、宝石の硬さを示す「モース硬度」について、一覧表を使ってやさしく解説します。

「この宝石、普段使いしても大丈夫かな?」

「指輪に向いてるのはどの石?」

そんな疑問をスッキリ解決して、安心してジュエリー選びができるようになりますよ。

目次

モース硬度って何?宝石の“傷つきにくさ”を知ろう

モース硬度は、宝石や鉱物の「キズのつきにくさ=硬さ」を1〜10の数字で表す尺度です。

ただしこの「硬さ」は、あくまで“引っかき傷”に対する強さのこと。 石の割れにくさ(靱性)や壊れにくさ(耐久性)とは別の性質です。

モース硬度は、1822年にドイツの鉱物学者フリードリッヒ・モースが考案したもの。 「ある鉱物で別の鉱物に傷をつけられるか?」という“ひっかき試験”で決まる、シンプルな評価方法です。

ダイヤモンドは最強の10、タルクはとてもやわらかい1。

この間に、さまざまな宝石が位置づけられています。

宝石選びで“硬さ”が大切な理由

硬い宝石はキズがつきにくく、長くきれいな状態を保ちやすい。 でも、“硬い=割れない”ではないのがポイント。

たとえば、ダイヤモンドはモース硬度10ですが、衝撃には弱いという性質があります。

だからジュエリーを選ぶときは、「硬度」だけでなく、 「靱性(割れにくさ)」や「劈開(割れやすい方向)」などもチェックしたいところ。

まずは、「硬さの数字」から宝石の感覚をつかんでみましょう。

モース硬度の数値と身近なものの硬さの比較

モース硬度の数値は、数字だけだと少し分かりづらいですよね。 そんなときは、日常で使うものと比べてみるとイメージしやすくなります。

モース硬度 身近なものの硬さの目安
1タルク(滑石):非常に柔らかく、指で簡単に傷つけられる。
2石膏:爪で傷をつけることができる。
3方解石(カルサイト):銅板や10円玉で傷がつく。
4蛍石(フローライト):ナイフで簡単に傷をつけられる。
5アパタイト:ガラスには傷をつけられないが、ナイフではやっと削れる程度。
6オーソクレース(正長石):ナイフでは傷をつけられない。
7石英(水晶):ガラスや鋼鉄、銅などに傷をつけられる。
8トパーズ:石英に傷をつけることができる。
9コランダム(ルビー、サファイア):石英やトパーズにも傷をつけられる。
10ダイヤモンド:最も硬く、他のすべての物質を傷つけることができる。
ゆうはな

モース硬度って、数字だけだとピンとこないけど、こうして日用品と比べてみると、すごくイメージしやすいですよね。

宝石別|モース硬度とジュエリーへの向き・不向き

次に、宝石ごとの硬度と、ジュエリーとしての適性を一覧で見てみましょう。

普段使いに向く石と、繊細な扱いが必要な石がひと目でわかります。

モース硬度 宝石例 ジュエリー適性
10ダイヤモンド◎:最も硬く、日常使いに最適。エンゲージリングなどにも。
9ルビー、サファイア◎:非常に硬く、日常使いに適する。エンゲージリングにも人気。
8トパーズ、スピネル◎:硬いが、トパーズは劈開に注意。丁寧に扱えば日常使いOK。
7アメジスト、シトリン、ローズクォーツ、ガーネット、トルマリン◎:比較的硬く、日常使いに適する。
6ムーンストーン、オパール、ラブラドライト、ペリドット、タンザナイト△:衝撃や乾燥に注意。リングよりもピアスやペンダント向き。
5アパタイト、黒曜石(オブシディアン)△:やや柔らかく、繊細なジュエリーや装飾用に。
4フローライト、マラカイト×:非常に柔らかく、コレクション・装飾向き。
3カルサイト(方解石)×:非常に柔らかく、装飾用やコレクション向き。
2セレナイト(石膏)×:非常に柔らかく、装飾用やコレクション向き。
1タルク(滑石)×:非常に柔らかく、装飾用やコレクション向き。

記載している宝石のモース硬度はあくまで目安です。 個体差や含浸処理などにより、実際の硬度や耐久性は変わることがあります。

ちなみに私の宝物のひとつに、スファレライトのルースがあります。

ギラッギラに輝いていて、本当にうっとりするほど綺麗なんですけど… ジュエリー向きの石じゃないと知ってから、指輪にするのをちょっとためらっていて。

見た目は強そうでも、実はとても繊細。 そういう石もたくさんあるから、“見た目”だけじゃなく“性質”も知っておくことが大切だと実感しました。

身近な素材・金属・あずきバーの硬さを比較

「ガラス」や「ナイフ」だけでなく、金・銀・チタン・人間の歯や爪、あずきバーなどにもモース硬度の目安があります。

素材 モース硬度の目安
約2.5
金(純金)約2.5〜3
約2.5〜3
約3
人間の歯(エナメル質)約5
冷凍のあずきバー体感で5〜6(※目安)
鉄・鋼約4〜5
チタン約6
ガラス約5.5
サンドペーパー(研磨紙)7〜9

たとえば、冷凍庫から出したばかりのあずきバーはモース硬度5〜6相当と言われたりしますが、これはあくまでネタ的な目安。 厳密な測定ではないという点は覚えておきましょう。

「硬さ」だけじゃダメ。割れやすさ=靱性にも注目!

ゆうはな

ダイヤは最強」って思ってたけど、衝撃に弱いって聞いたときは正直びっくりしました。 宝石の強さって、ひとつじゃ測れないんですね。

たとえば、ダイヤモンドは特定の方向からの衝撃に弱くて、パキッと割れてしまうことがあります。 これは「劈開(へきかい)」という性質で、結晶構造にそって割れやすいラインがあるんです。

一方で、翡翠(ジェダイト)は硬度はそれほど高くないけれど、とても割れにくくて丈夫な石です。 翡翠は「劈開」が目立たず、「断口(だんこう)」という不規則な割れ方をするため、衝撃にも強いんです。

いつか、暮らしに馴染むヒスイと出会って、普段使いできたらいいな…と思っています。

よくある質問(Q&A)

Q1:モース硬度が高ければ、割れないんですか?

A:いいえ、硬さと割れにくさは別物です。 モース硬度は「キズのつきにくさ」を表す指標で、「衝撃に強いかどうか(靱性)」とは違います。

Q2:普段使いにおすすめの宝石ってどれ?

A:モース硬度7以上が目安。 たとえばクォーツ、トパーズ、サファイアなど。 ただし、デザインや使い方、石の個性によっても変わるので、リングなどには注意が必要です。

Q3:硬度が低い宝石って、ジュエリーにできないの?

A:できますが、使い方に工夫が必要です。 ピアスやネックレスのようにぶつかりにくいデザインなら、やさしく楽しめることも。 観賞用やコレクションとして楽しむのも素敵な方法です。

まとめ|モース硬度を知れば、宝石選びがもっと安心に

宝石って、見た目のキラキラだけじゃない。 モース硬度を知ることで、どの石が普段使いに向いているかが、自然と見えてきます。

でも、それだけでは足りません。 硬くても割れる石がある。やわらかくても、実は強い石もある。

大切なのは、その石の“性格”を知って、どう付き合うか。 そうすれば、ジュエリー選びはもっと自由に、もっと楽しくなるはず。

気になる宝石があれば、硬度や靱性をチェックして、自分らしい一石と出会ってくださいね。

※この記事は、宝石学の基本資料と一般的な業界ガイドラインをもとに執筆しています。 宝石は個体差も大きいため、実際に購入・使用する際は専門家のアドバイスも参考にしてください。

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